ダイナミック・マイクとコンデンサー・マイクの違い

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レコーディングを行う場合、アコースティックな楽器でもエレクトリックな楽器でも、演奏された音をそのあままリアルに記録するという理由から、基本的にはマイクロフォンが使用されます。ただ、マイクには様々な種類があり、それぞれで動作原理や使用方法が異なるだけでなく、音質にも大きな違いがあります。そこで、ここでは一般的に使用されるダイナミック・マイクとコンデンサー・マイクについて、簡単に説明していきたいと思います。

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ゼンハイザーのダイナミック・マイク
作者 ChrisEngelsma

ダイナミック・マイクの仕組みと特徴

ダイナミック・マイクはステージやカラオケ、何かしらの発表会場で特に見かけるマイクで、細かく分類すると構造や材料によりムービング・コイル型とリボン型のものに分かれます。このダイナミック・マイクはちょうどスピーカーと同じような構造をしており、その動作原理もスピーカーの流れを逆にした元のほぼ一致します。
ダイナミック・マイクの中にはダイヤフラムと呼ばれる振動板とコイル、磁石が置かれています。そしてこの振動板が音声によって動くと、電磁誘導が起こり音が電気信号に変換されます。ダイナミックマイクはこういったシンプルな構造のため、コンデンサー・マイクのように電源を供給する必要がなく、気温や振動、湿度に対して非常に丈夫です。
Shure SM58ボーカルマイクロホン
スタンダードなダイナミック・マイク、SM58
ただ、高音域が振動板を揺らしにくいことが分かっているため、ダイナミック・マイクは全ての周波数帯域の音をフラットに拾えるというわけではありません。この弱点を考慮すると、ダイナミック・マイクはマイクとしてはコンデンサ・マイクに劣りますが、使いやすさ、頑丈さ、張りのある音には優れます。そのため、コンデンサー・マイクが使用できない舞台では重宝されます。
ちなみに、ダイナミック・マイクとスピーカーは同じような構造を持つため、マイクから音を出したり、スピーカーをマイクとして使用することも原理的に可能です。そのため、トランシーバー等ではコストやサイズを考慮し、スピーカーとマイクが兼用になっているものが多数存在します。
NT1-A Studio Secrets
世界的コンデンサー・マイクRode NT-1A

コンデンサー・マイクの仕組みと特徴

コンデンサー・マイクは平行な2枚の金属板に電気を通し、音声により板を振動させることで電気信号を発生させるマイクのことを言います。こちらのマイクで使用されるダイヤフラムは非常に軽量にすることができるので、各周波数帯の音をバランスよく録ることができ、そのサウンドは歯切れが良く明瞭になります。
ただし、その構造からコンデンサー・マイクは振動に弱く、温度や湿度の影響を受け易いという弱点を持ちます。そのため、レコーディングスタジオなどの整備された環境では最大限の力を発揮出来ますが、屋外等の環境での使用は基本的に敬遠されます。

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USB端子を備えているユニークなコンデンサー・マイク、イエティ
作者 Evan-Amos
その上、コンデンサー・マイクは金属板を帯電させる関係から、電池を利用したりミキサーに備わっているファンタム電源から電気を供給する必要があります。ミキサーに備わっているファンタムスイッチは、このコンデンサー・マイクのために存在しているというわけです。ちなみに、ミキサーの中にはマイクの種類を判別し、ファンタム電源のオンオフを自動で切り替える機種なども存在します。

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