エレキギターの種類

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エレキギターは、弦の振動を電気的に増幅してアンプから音を出す楽器です。
他の楽器と同じように、エレキギターも世に出てから改良が重ねられてきました。
その結果、現在では様々なエレキギターの中から自分好みの1本を自由に選ぶことができます。

今回はそんなエレキギターの種類について紹介していきます。
まずは、エレキギターの基本的な仕組みから見ていきましょう。

エレキギターの構造

ボディ


ギブソンのソリッドボディギター、マローダー


デューゼンバーグのホロウボディギター、スタープレイヤー

エレキギターのボディは、ホロウボディとソリッドボディの2つに大きく分かれます。

ホロウボディはヴァイオリンなどの弦楽器のように中空構造です。
ソリッドボディは中空構造を持たず、木材などが詰まっています。

ピックアップ


シングルコイル(中央と右)とハムバッキング(左)

ピックアップは、弦の振動を電気的に拾う部分で、音色に大きく影響します。
大別すると、ピックアップはシングルコイルとハムバッキングに分かれます。

シングルコイル

ピックアップは、磁力の周りにコイルが巻かれており、弦の振動で電気を生み出します。
この構造が1つのものをシングルコイルと呼び、フェンダーのモデルによく見られます。
その音は軽快でカラッとしています。

ハムバッキング

ハムバッキングはシングルコイルを並べたもののことを言い、ギブソンのモデルに良く見られます。
ノイズに強い構造となっており、太い音色が特徴です。

セレクタースイッチ


ギブソンL6-Sのピックアップセレクター

エレキギターにはセレクタースイッチがあり、弦の振動を拾うピックアップを選ぶことができます。

フェンダー系の場合、ピックアップはネック側からフロント、センター、リアと呼ばれます。
ギブソン系の場合、ピックアップはネック側からリズム、ミドル、リード/トレブルと呼ばれます。

フロント側は太く安定感がある音色で、リア側は高音域がはっきりとした音色です。
それぞれ得意とする役割が異なるということですね。

続いて、ギターの種類を見ていきます。

フェンダー系

ストラトキャスター


フェンダーのストラトキャスター

ソリッドボディの代名詞といえば、フェンダー社が1954年から発売しているストラトキャスターです。
ストラトキャスターは、レオ・フェンダーらによって開発された、テレキャスターの発展形です。

特徴

ストラトキャスターのボディは、木材から削りだされて作られています。
そのため、内部に共鳴する空洞部分が無いソリッドボディです。

ソリッドボディとネックは、木ねじでつなげるボルトオンネック構造です。
ボルトオンネック構造は、テレキャスターから引き継がれました。
この製造方法が、ストラトキャスターの大量生産を可能としています。


シンクロナイズド・トレモロ・ユニット

ストラトキャスターといえば、シンクロナイズド・トレモロ・ユニットです。
ブリッジのトレモロアームを操作すると、弦の張りを調節することできます。
つまり、アームの操作で音をビブラートできます。
この仕組みのため、トレモロユニットはボディ裏側でスプリングとつながっています。

音色

テレキャスターの軽快な音と比較すると、ストラトキャスターの音色は柔らかめです。
ピックアップはどれも個性的で、リアでは高域が強調された音色、フロントでは太い音色を作れます。
また、ピックアップセレクターは5段階で、複数ピックアップの音を混ぜるハーフトーンが使用できます。

テレキャスター

テレキャスターは、レオ・フェンダーが開発した定番のエレキギターの1つです。
現在まで生産されている人気機種ですね。
当初はエスクワイヤーの名前で発表され、ブロードキャスターという名前で1950年に発売されました。
しかし、類似の名称が商標登録されていたため、1951年にテレキャスターへと名前が変わります。

特徴

テレキャスターはストラトキャスターにも引き継がれたボルトオンネック構造を持ちます。
またボディ表面を曲面にする工程が省略されており、フレットもネックに直接打ちこまれています。
さらに、ボリュームとトーンのコントロールは、1枚のプレートにまとめられ、ボディ表面に止められています。

このようにして、テレキャスターは特徴的な音色とコストダウンが両立できています。

音色

テレキャスターは、シングルコイルによるきらびやかな高音域と硬質ではっきりとした音色が特徴です。
カッティングに適したタイトなアタック音もテレキャスターの魅力ですね。
また、ピックアップはフロントとリアで巻き方が異なります。
そのため、ハーフトーンにするとハムバッキングのようにノイズを打ち消すことができます。

ジャズマスター


フェンダーのジャズマスター

ジャズマスターは、レオ・フェンダーが開発し1958年に発売されたフェンダー社のエレキギターです。

特徴

ジャズマスターのトレモロユニットは、チューニングの安定性が高いフローティング・トレモロです。
フローティング・トレモロは、ストラトキャスターのトレモロユニットよりチューニングが安定します。
また、アーム操作が非常に軽く、繊細なビブラートができます。

しかし、弦がブリッジから外れやすく、弦が指版から落ちやすい、といった弱点があります。

ジャズマスターは、座って演奏する際に安定するようボディシェイプが工夫されています。
このような工夫や音色により、ジャズマスターはジャズ以外の様々なギタリストにも使われています。

音色

名前の通り、ジャスマスターはジャズに対応できるギターがコンセプトです。
そのため、ジャズマスターの音はシングルコイルのピックアップより太めです。
この太く豊かな音色こそジャズマスターの持ち味です。

ジャズマスターにはマスターボリュームとマスタートーンがあります。
さらに特徴的な仕組みとして、プリセットスイッチとプリセットボリューム、プリセットトーンがあります。
プリセットスイッチを入れると、フロントピックアップのみが動作し、プリセットボリュームとトーンの回路を通るようになります。

ジャガー

ジャガーは1962年に最高級機種として発売されたフェンダーのエレキギターです。

特徴

ジャガーのトレモロユニットは、ジャズマスターと共通のフローティングトレモロです。
一方、ボディの形、ネックの長さ、ピックアップの種類、スイッチ等は異なります。
また、ジャガーはミュート構造を備えたギターでもあります。
しかし、ミュートすると音程が若干上がるため、曲中では使用しにくく、普及はしませんでした。

ジャガーは、1990年代初頭にニルヴァーナのカート・コバーンが使用しました。
その結果、ジャガーはオルタナやグランジといったジャンルで人気機種となりました。
今では、カート・コバーン仕様のジャガーがフェンダー・ジャパンより発売されています。

音色

ジャガーはジャズマスターより歯切れが良く、鋭い音色が特徴です。
そしてジャズマスター同様に、プリセットのスイッチとボリューム、トーンを搭載しています。
機能もほぼ同じで、プリセットを使うとピックアップはフロントのみとなり、プリセットが優先されます。

その他、スイッチ型ピックアップセレクターにより、フロントとリアのオンオフを切り替えられます。
低音をカットできるローカットスイッチもあります。

ムスタング


フェンダーのムスタング

ムスタングは1964年に発売されたフェンダーのエレキギターです。
1982年にアメリカでの生産は終了しましたが、1986年からフェンダー・ジャパンが生産を始め、現在も販売されています。

特徴

ムスタングは1964年にフェンダーのスチューデントモデルとして登場しました。
フローティング・トレモロの発展型ともいえるダイナミック・ヴィブラートが搭載されています。
これはギター内部のばねとテイルピースが接続され、軽い力でアームの操作ができる、というものです。
半面、チューニングの精度には癖があります。

音色

ムスタングは、独特な仕様からサステインが短く、低音域は弱めです。
ただ音色には勢いがあり、高音域は強めです。
また非常に繊細なアーミングが可能です。
その音色は、60年代のサーフ・ミュージックから90年代のオルタナロックまで、様々な場面で見かけます。

ムスタングは、ピックアップのスイッチのオンオフを組み合わせて独特なサウンドを作れます。
例えば、2つのシングルコイルを直列にしたり、2つのうち片方の位相を逆にできます。
後者はアウト・オブ・フェイズ・サウンドと呼ばれます。

ギブソン系

レスポール


ギブソンのレスポール(ゲイリームーアモデル)

もう1つのソリッドボディの代名詞が、ギブソンが1952年から製造・販売するレスポールです。
レスポールは、アメリカ合衆国のギタリスト、レス・ポールのアーティスト・モデルでした。
モデルはスタンダード/カスタムやスペシャル/ジュニア/デラックス/スタジオ/クラシックなどあります。

特徴

レスポールのピックアップであるハムバッキングは、シングルコイルを二つ並べたダブルコイルです。
そしてコイル2つを巻く向きと磁極を逆にして、ノイズをキャンセルします。
その結果、より大きく分厚い音が出せるようになりました。
ただ、発売当初は音がパワフル過ぎるという理由で敬遠されていました。
また他のギターと比べると、レスポールの重さも受け入れられにくかった理由の1つです。

Gibson_Robot_Guitar.jpg

自動チューニングシステム内蔵のロボットギター

レスポールのなかで最も異質なモデルは、2007年12月に生産されたロボットギターです。
ロボットギターにはドイツのTronical社開発の自動チューニングシステムが搭載されています。
このシステムは、CPUがセンサーで拾った音の高さを分析し、電動ペグがチューニングをします。

音色

ハムバッキングは、パワフルな分厚い音がとても魅力的です。
しかし、シングルコイルより高域が出にくいという弱点はあります。

SG


ギブソンのSGの上位モデルsupreme

SG(Solid Guitar)はギブソンが1961年のニューモデルとして発表したエレキギターです。
売上不振により、ギブソンは1960年にレスポール型ギターの生産を中止しました。
そして翌年に、軽快な音色を追求したSGの販売を開始しました。
SGは新たなレスポールモデルとして販売されましたが、ポール本人は納得せず契約は打ち切られました。

特徴

SGは、重量バランスが悪い、尖ったカッタウェイ部分が折れやすい、といった短所があります。
また、ボディが薄いためジャック部分が衝撃により割れやすいです。


ダブルネック・エレキギターEDS-1275

1962年発売のダブルネックのエレキギター、EDS-1275はSGのデザインを踏襲しています。
とても特徴的な形ですね。
本機はレスポールがSGへとモデルチェンジし、受注生産と言う形で生産されました。

音色

SGの音色は、薄いボディと高出力のピックアップによる音の伸びが特徴です。
SGは音色、デザイン性、演奏性が評価され、多くのギタリストに愛用されています。

ES-335


ギブソンのES-335

ES(エレクトリック・スパニッシュ)-335は、1958年発売の世界初のセミアコースティックギターです。
ES-335は、ボディ内部にセンターブロックがないシングルコイルのES-330を経て発売されました。
その後もステレオ仕様で音色を変えるスイッチ付きのES-345TDSVや、ビブラート・ユニットが付いた豪華版のES-355TDSVなど、改良型が多数出ています。
近年では、ES-335を小型化したES-339や、ハウリングと演奏性を良くしたモデルも数多く登場しています。

特徴

ES-335の特徴は、両サイドが中空で、ヴァイオリンのようなfホールが空けられているところです。
またボディ中央には、センターブロックと呼ばれる木製の板が埋め込まれています。
この構造により、音色はソリッドギターとアコースティックギターの良い所取りです。
こうした理由で、ES-335は様々なジャンルで活躍しています。

音色

ソリッドボディにアコースティックサウンドを加えるというコンセプトのもと、開発されました。
ES-335はソリッドの伸びる音とホロウボディの豊かな響きが魅力的です。
そのため、今でもセミアコースティックギターの代名詞として知られています。

エクスプローラー


ギブソンのエクスプローラー

エクスプローラーは1958年にフューチュラという名前で発表された、先進的なボディのエレキギターです。
発売当初はその独特の形状が受け入れられず、1959年に生産中止となりました。
しかし、他社が変形ギターで成功しているのを受け、1975年に再び生産が開始されました。

特徴

エクスプローラーは、現在では他社のモデルを含め、様々なモデルが販売されています。
アメリカのイリノイで創業されたヘイマーでは、1974年にヘイマー・スタンダードと呼ばれるエクスプローラーが製作されました。


グレコのエクスプローラー

また、1975年に日本に設立されたESPも、様々なエクスプローラーモデルを製造しました。
他にも、ジャクソン、ワーウィック、アイバニーズ、ヤマハ、ピーヴィーが参入し、その人気は確かです。

音色

ハムバッキングによる、分厚いサウンドが特徴的です。
高音域よりも、中低音域が豊かな音色です。

フライングV

フライングVは1958年にエクスプローラーと共に発売されたギブソンのエレキギターです。
エクスプローラーと同様、当時はその奇抜さが受け入れられず、翌1959年に生産中止となりました。
しかし、1970年代以降、様々なアーティストが愛用し、他社によるコピーモデルが出回りました。
そのため、1980年代にギブソンはフライングVをエクスプローラーと共に復刻しました。

特徴

フライングVは、V字型のボディにより見るからに弾きにくそうです。
しかし、滑り止めが付属する機種もあり、座って弾く際の安定性は改善されています。
フライングVの奇抜なボディが生む太い音色は、今でも様々なジャンルのギタリストに好まれています。

音色

フライングVは、中音域が豊かで軽快な音色です。
見た目よりいくぶんも大人しい音で、甘い響きです。

ファイヤーバード

ファイヤーバードは1963年に発表されたギブソンのエレキギターです。

特徴

ギブソン社はフライングVとエクスプローラーが不発に終わったため、新たなギターの開発に着手します。
そこで、カーデザイナーのレイモンド・ディートリックに依頼し、完成したのがファイヤーバードです。
エクスプローラーをモチーフとしながらもしなやかな曲線を持つのが魅力的ですね。

また、1965年にギブソンはファイヤーバードのノン・リバースという新たなモデルを投入しました。
しかしファイヤーバードは大ヒットとまではいかず、1969年に製造中止となります。

ただ、その後は復刻を望む市場の声に応えて、ファイヤーバードは何度か再製造されました。
こうして、いつしかファイヤーバードはギブソンの代表的なモデルの1つとなっていきました。

音色

ファイヤーバードのリバースモデルの多くには、ピックアップにミニハムバッカーを搭載されています。
ミニハムバッカーは通常のハムバッキングよりも歯切れのよい音色が特徴です。
対照的に、ノンリバースモデルの多くにはギブソンの代表的なピックアップP-90が採用されています。
リバースモデルと比較すると低音域の優れる太い音が特徴です。

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kdm

1987年東京都生まれ。夏は潮の香りで南国気分、青空が綺麗な千葉県在住。コードを愛でたいプログラマ/システムエンジニア/スクラムマスター/作曲家。10代の頃、趣味のゲーム/ゲーム音楽と、偶然触ったアコースティックギターがクロスオーバーし、作曲の面白さと奥深さに気付く。その後、想ったことや感じたことを音楽で表現することに興味を持ち、作曲の技法を学び始める。作曲のあまりのハードルの高さに何度も挫折したが、めげずに試行錯誤しながら作曲の技法を学び続けた。その結果、作曲をお願いされるようになり、作曲家の端くれに。本業も音楽も花開いたボロディンが憧れ。サイトを通じて、音楽に関して学んだこと、思ったことを共有したいです!

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