エレキギターの弾き心地を決めるスケール長

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弦の振動を電気的に増幅して出力するエレキギターが世に現れてから、これまでいくつものメーカーがギターの性能やデザインの改良を重ねてきました。そのおかげで、現在では特徴の異なる様々なギターが世に出回り、私たちはそれらの中から予算の許す限り自由に選ぶことができます。ここでは、それらエレキギターの構造や名称について紹介していきます。

スケール長

ギターのヘッド側にあるナットからボディ側にあるブリッジまでの長さをスケール長と言います。この長さは大別して3種類あり、その違いによってフレットの間隔、ネック長、弦のテンションが変わり、弾き心地や音色も変化します。

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レギュラースケールのフェンダー・ストラトキャスター
作者 Wickler

レギュラースケール

ストラトキャスターやテレキャスター、ジャズマスター等のフェンダー系ギターでは、647.7mm(25と1/2インチ)のレギュラースケール(フェンダースケール)が一般的です。標準的なエレキギターの中で、レギュラースケールは比較的長い傾向にあるため、フレットの幅が広く、ネックが長くなるため弦のテンションも強くなります。

こういった影響により、レギュラースケールでは弦が振動しやすくなるので音に張りが出てサステインが長くなる傾向にあります。ただしこのスケールはフレットの間隔が広いので、手が柔軟であったり大きくないと弾きにくいフレーズが現れてくることもあります。

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ミディアムスケールのギブソン・レスポール・カスタム
作者 Guitarpop

ミディアムスケール

レスポールやSG、フライングVなどのギブソン系ギターでは、628.65mm(24と3/4インチ)のミディアムスケール(ギブソンスケール)が一般的です。ミディアムスケールはレギュラースケールよりもフレットの幅が狭く、ネックが短くなります。その結果、弦のテンションも弱くなります。

こういったことから、ミディアムスケールはレギュラースケールよりも弾きやすくなりますが、それと引き換えにサステインや音のアタック感は比較的弱い傾向にあると言われています。ただ、ギターの音色はボディの形状やネックの繋ぎ方、ピックアップの種類等に依る部分もあるので、最終的な音色はギターによって変わります。ちなみに、ストラトキャスターの中にはミディアムスケールが採用されているものもあります。

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ショートスケールのフェンダー・ムスタング(1968年製)
作者 Alban Dericbourg

ショートスケール

フェンダーのムスタング、ジャガー、FERNANDESのZO-3などに採用されている、609.6mm(24インチ)のスケールがショートスケールです。名前にあるように、ショートスケールはネックが短いためフレットの間隔が狭く、弦のテンションも弱めなのが特徴です。

このスケールは、比較的手が小さく指の力も弱い傾向にある女性にマッチしやすいスケールと言われています。ただし、短所としてハイフレットの間隔が非常に狭くなるので、ロングスケールに慣れていたり手が大きく指が太かったりすると違和感を感じることがあります。ただ、そういったスケール長の違いも慣れてしまえば特に問題はありません。
弾きやすさを考えてスケールでギターを選ぶのも選択肢の1つです。ただ、どのようなスケールのギターも使っていれば慣れてくるものなので、スケールに縛られて気に入ったルックスや音色のギターを使わないのは勿体無いかもしれません。

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