耳コピの方法

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世の中には、楽譜が発売されているバンドの楽曲から、個人が作成したマニアックな楽曲まで、様々なものがあります。そしてこれらの楽曲は様々なフレーズ、コード、リズムによって構成されており、どれも演奏者や作曲者、編曲者のアイデアが散りばめられています。これらをコピーしてストックしておくことは、今後の音楽ライフに多いに役立つと言えます。

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アンデスの奥地 (1859年)
作者 フレデリック・エドウィン・チャーチ (1826–1900)
ただ、目で見た景色をそのまま絵にするのが難しいように、耳で聞いた音をそのまま演奏するのはなかなか大変です。そのため、ここでは耳コピに関する基本的な知識について説明していきます。

耳コピに必要なもの

耳コピに必要なものは、参考にする音源、聞き取りやすいヘッドフォンやスピーカー、音や和音やリズムを表現できる楽器、そして耳コピを諦めない心と気楽に取り組むという気持ちです。また、コピーした音を記録したい場合はメモ帳やDominoといったMIDIシーケンサーを用意してもいいと思います。ここでは、更にこれらについて詳しく説明していきます。

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音楽用のメディアとして使用されることが多いコンパクトディスク
作者 Sakurambo
参考にする音源は、各々が自分の好きなものを選ぶことになります。好きな楽曲をコピーしていくことは自分の音楽を形作ることにも役立ちますし、まずはその音源を調達することから耳コピは始まります。

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装着感に優れるヘッドフォンの1つ、Audio-Technica ATH-A500
作者 RadioActive
次に、ヘッドフォンやスピーカーは音が出ればひとまず問題はありません。ただ、モニタリング用のヘッドフォンやスピーカーはベースやドラム、メロディやカウンターメロディ、バッキング、効果音がより分離して聞こえます。そのため、実際には何を使うかで作業の効率は大きく変化すると言えます。

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キーボードを演奏する様子
作者 Chitrapa
音やリズムを表現できる楽器は、最も単純には自分の体や声、手足でも問題はありません。ただ、耳コピを行いながらフレーズや運指の理解、楽器の練習などを兼ねたい場合は、好きな楽器を使用すると良いと思います。こういったことを考えると、メロディ、和音、リズムを同時に表現できる鍵盤楽器やギターはとても優秀です。
そしてこれらは精神的なものですが、音が採れなくても諦めない心がとにかく大切です。聞こえた音とイメージした音、実際に出した音が一致するまで根気よく耳コピを続けていくと、やがて何となく音がわかるようになってきます。
それでも音の高さが分からなかった時に大切なのが、耳コピに気楽に取り組むという気持ちです。全ての音を聞き取ることはとても大切ですが、これによって楽器が嫌いになってしまったり耳コピに嫌気が差してしまうのは、とても勿体無いことです。

耳コピを手助けする音楽理論と道具

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Cのメジャー・スケール
作者 っ
耳コピには音階やコードの知識、または再生速度を変更できる音楽再生用プレーヤーが特に役立ちます。ここではこれらについて簡単に説明していきます。

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Cの長調と短調で使用される基本的なコード
まず、現在流通しているポピュラーな音楽は音階や調、コードを元に作られています。そのため、その楽曲の調が掴めれば、使用される可能性が高いコードや音の高さが予想できるようになります。ただ、複雑なコード進行を多用したり転調の多い楽曲は、意外性に優れる面白い曲が多い反面、耳コピに苦労するため注意が必要です。

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速度とピッチの調整が可能なプレイヤー、聞々ハヤえもん
そして、速度さえ遅ければ聴き取れるような音でも、早くなると頭が追いつかなくなることがあります。このような場面で、再生速度を変更できるプレーヤーが活躍するわけです。また、こういったソフトウェアは再生速度を変更するとピッチが自動的に補正されることが多いので、ストレスなく耳コピに使用することができます。

耳コピの実践

耳コピには様々な方法があるかもしれませんが、ここでは私の方法を紹介していきます。私の場合、まずその楽曲の調をある程度明らかにします。例えば、イントロやAメロ、Bメロ、サビが流れている中である音を出すと、音が綺麗に収まったり濁って聞こえたりします。この時、綺麗に収まる音が1度や4度、5度であることが多いので、そこから楽曲の調とメロディのスケールを予想していきます。

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音高が歌詞の上に文字で記されている、古代ギリシアの文字譜
作者 Žiga
こうして調と使用される可能性の高い音高が明らかになってくれば、後はメロディの最初の音を採るだけです。運が良ければ、この最初の音だけで後のメロディの流れがほとんど推測できることもあります。ただ、別の調のコードやスケールを借用する場面のある楽曲では、予想のできない音がメロディに現れることがあります。そのため、一応は全ての音を確認しておくことが大切です。
次に、コードを採る場合はベースの音を聞き取ります。音楽のジャンルや楽曲の複雑さによりますが、多くの場合はベース音がコードのルート音と共通しています。次に、そのベース音がなっているタイミングが明るい雰囲気であればメジャー、暗ければマイナーコードだと分かります。もし、独特な雰囲気であれば、sus4かディミニッシュ、オーギュメントあたりを疑ってみると良いと思います。

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ギターの押さえるべきフレットが書かれているタブ譜
作者 Miguel de Fuenllana (1554)
そして、お洒落でふわふわとした雰囲気であればメジャーやマイナーセブンス、また緊張感のある雰囲気であれば9度などのテンション・ノートが付加されている可能性があります。ただ、これらの音が聴き取れなくても楽曲のコード進行が大きく破綻することはあまり無いようです。
最後に、これらの判断を元にベース音をルートにして和音を作ると、合っていればその小節や瞬間のコードと一致します。もし違和感を感じた場合は、コードの判断が誤っていたか、ベースがルート音ではなかったということになります。
耳コピはこれらの作業の繰り返しです。私の場合は集中力が続かないことも多いので、一部の楽器のパートみ、一部のフレーズのみ、サビのみのコピーに留めておくことが多々あります。また、AメロとBメロ、Bメロとサビ、サビと間奏、間奏と大サビの繋がりを知りたい場合はこれらの前後をコピーします。

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