一青窈/江戸ポルカのサビでも採用されているコード進行のパターンと分析

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コード進行

Dm | Dm | Am | Am |
G | G | F7 | E7 |
Dm | Dm | Am | Am |
B♭ | E7 | Am | Am |

ディグリーネーム

Ⅳm | Ⅳm | Ⅰm | Ⅰm |
♭Ⅶ | ♭Ⅶ | ♭Ⅵ7 | Ⅴ7 |
Ⅳm | Ⅳm | Ⅰm | Ⅰm |
♭Ⅱ | Ⅴ7 | Ⅰm | Ⅰm |

機能

SD | SD | T | T |
SD | SD | T(♭ⅡまたはⅤに対するD) | D |
SD | SD | T | T |
(平行長調の同主短調のコード、スパニッシュ・スケールに基づくコード) | D | T | T |

分析

今回はAの短調を主調とした、セカンダリー・ドミナントや和声的短音階、スパニッシュ・スケールに基づくコードが登場する、暗く情熱的なコード進行です。
まず、コードは主要和音でサブドミナントのⅣmから始まり、同じく主要和音でトニックのⅠmへと着地します。ここでは、サブドミナントの持つ展開感と度数の離れたコードの接続による展開感が組み合わさり、より強力になっています。また、ドミナントが不在のため終止感はそれほど強くありません。
次に、5~8小節目では「♭Ⅶ→♭Ⅵ7→Ⅴ7」という形でコードが進行します。このうち、♭Ⅵ7はダイアトニック外のコードで、♭ⅡまたはⅤに対するドミナントとして機能するセカンダリー・ドミナントです。また、Ⅴ7はエグみのある響きが特徴の和声的短音階に基づくコードで、正式なドミナントとして機能しⅠを導きます。
そして、9~12小節は1~4小節を繰り返し、13~16小節目からは「♭Ⅱ→Ⅴ7→Ⅰm」というコード進行が登場します。♭Ⅱは、♭ⅢをⅠとする平行長調の同主短調の第7のコードですが、フラメンコに用いられるスパニッシュ・スケール(長調を3番目の音から始まるように並び替えたフリジアン・スケールに長3度の音を加えたもの)の2番目の音をコード化したものとして解釈することもできます。
こうして♭Ⅱにより情熱的な雰囲気が生まれた後、コードはドミナント終止によりⅠへと着地し、コード進行は終りを迎えます。

まとめ

今回のコード進行では、セカンダリー・ドミナント♭Ⅵ7や、独特な響きでコード進行を彩る♭Ⅱが印象的でした。♭Ⅵ7は、♭ⅥM7の長7度を半音下げるだけで、半音下へと着地する裏コードのように用いることができます。また、「♭Ⅵ7→Ⅴ7」とすることでドミナント特有の緊張感と不安感が続くので、こういった雰囲気が必要な場面で重宝するはずです。
また、♭Ⅱは平行長調の同主短調のコードでもあり、スパニッシュ・スケールに基づくコードでもあります。情熱的な雰囲気を作り出す場合、長調よりも短調が適していますが、これでも不十分な場合は、長調を3番目の音から始まるように並び替えたフリジアン・スケールや、これに長3度の音を加えたスパニッシュ・スケールが役立ちます。

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