エレキギターのコンパクト・エフェクターとマルチ・エフェクターの接続順序

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コンパクト・エフェクターの良さは、自分の好みの音色を作るのに役立つ好きなエフェクターを自由な並びで組み合わせていけることです。一方、マルチ・エフェクターは非常に配線が楽で、ギターとシールド、エフェクターとそのための電源があれば簡単に様々なエフェクトを組み合わせて使用し、設定を保存することもできます。
しかし、自分に必要なエフェクトを全てコンパクト・エフェクターで揃えるにはお金もかかりますし、ライブの演奏等で毎回持ち運ぶのは大変です。一方、マルチ・エフェクターで全てのエフェクトを補おうとする場合、ハイエンドのものは別ですが、必要なエフェクトを内蔵していなかったり、エフェクトの接続順や使用できる数が決まっていたりと、どうしても目的の音に近づけないことがあります。
そういった際に役立つのが、コンパクト・エフェクターとマルチ・エフェクターの併用です。ただ、これは機材さえあれば簡単に実行できることですが、この2種類のエフェクターを組み合わせる場合、それぞれの長所と短所、機能を理解していないと本来の性能を発揮することができません。そこで、ここではいくつかの場合に分けてこれらの接続方法を考えていきます。

歪みの前に置いた方が良いエフェクター→マルチ・エフェクター

定番コンプレッサーのBOSS・CS-3
一般的には、ピッチを操作するピッチシフターやコンプレッサー、ワウは歪みの前に置いた方が良いエフェクターとされています。これらとマルチ・エフェクターを組み合わせる場合には、大抵のマルチ・エフェクターは本来の機能を全て使用できます。

歪み系コンパクト・エフェクター→マルチ・エフェクター

定番のディストーション、MXR・Distortion+
好みの歪みを生み出すコンパクトペダルを所持している場合、繋ぎ方は2通り考えられます。まず、コンパクト・エフェクターを先にしてマルチ・エフェクターを後に置くとすると、マルチ・エフェクターの歪み系、揺らし系、空間系を普段通りに使用することができます。
ただその一方で、マルチ・エフェクターに内蔵されたピッチシフターは歪みの影響を受け、コンプレッサーは歪みを潰してしまい、ワウは歪んだ音の各周波数帯をブーストすることになります。そのため、これらを歪みの後に置くと、基本的な使い方で得られる音色とは異なるやや独特な音になります。

マルチ・エフェクター→歪み系コンパクト・エフェクター

この場合、マルチ・エフェクターから出力された音を歪ませることになるので、揺らし系や空間系の使用は難しくなります。ただ、アンプ側がコーラスやリバーブ等の揺らし系と空間系エフェクトを内蔵していれば、特に問題はありません。
そして、この組み合わせではマルチ・エフェクター内にあるピッチシフター、ワウ、コンプレッサーといった、原音に掛けることに意味があるエフェクトを普段通りに使用することができます。

揺らし系コンパクト・エフェクター→マルチ・エフェクター

定番のコーラス、ELECTRO-HARMONIXのSMALL CLONE
この組み合わせでは、マルチ・エフェクターの空間系エフェクトは問題なく使用出来ます。ただ、歪みの前に置いた方が良いエフェクターや歪み系エフェクターは使用が難しくなります。その代わり、揺らし系を2重に掛けることができるので、コーラスにコーラスやフェイザー、フランジャー、トレモロを掛けるといったユニークな音作りができます。

マルチ・エフェクター→揺らし系コンパクト・エフェクター

揺らし系コンパクト・エフェクターを後ろに置いた場合、マルチ・エフェクターの機能は空間系を除いて通常通りに使用することができます。好みが分かれるところですが、空間系を揺らすのに抵抗がない場合はこの組み合わせに特にデメリットはありません。また、アンプのリバーブを使用すれば、揺らした空間を更に残響させた面白い音も得られます。

空間系コンパクト・エフェクター→マルチ・エフェクター

定番のリバーブ、BOSS・RV-5
これはあまり一般的ではない組み合わせで、マルチ・エフェクターの空間系エフェクター以外は使用が難しくなります。

マルチ・エフェクター→空間系コンパクト・エフェクター

こちらはマルチ・エフェクターの空間系をコンパクト・エフェクターで補うというわかりやすい組み合わせです。マルチ・エフェクターとコンパクト・エフェクターの全ての機能を普段通り使用することができます。また、残響音を2重に掛けて幻想的な雰囲気を作り出すことが可能です。

センド・リターンを持つマルチ・エフェクター

アンプ・シミュレーター、マルチ・エフェクターで定番のLINE6・PODのPROシリーズ
高価なマルチ・エフェクターや一部のモデルには、コンパクト・エフェクターを利用しやすくするためのループを備えているものがあります。PODシリーズのPROモデル等はこの機能に優れ、好きな場所にコンパクト・エフェクターを差し込むことができます。そういったものでなくとも、マルチ・エフェクターのループはコンプレッサーと歪みの間にコンパクト・エフェクターを差し込むことができたりするので便利です。

“エレキギターのコンパクト・エフェクターとマルチ・エフェクターの接続順序” への2件の返信

  1. 工藤修寿 より:

    ボスのマルチエフェクター
    M-50の場合イコライザーがなく、クリーンなサウンド作りたいのですが、マルチエフェクターとコンパクトエフェクターの繋ぎ方教えて下さい

    1. kdm より:

      ME-50、エフェクトが揃っているのでめちゃくちゃ遊べますよね!
      筐体もメタルで無骨でカッコいいですし、良いマルチエフェクターです。

      さてエフェクターの順番ですが、イコライザーが、ME-50の前でも後ろでも、クリーンサウンドは問題なく作れます。
      ただ、次のような違いがあります。

      【イコライザーをME-50の前に繋ぐ】
      ME-50にはイコライザーにあたるトーン・モディファイがあります。
      もしイコライザーをME-50の前に繋げると、トーン・モディファイの設定をより細かく弄れるような感じになります。
      ギターのトーンノブやピックアップセレクターの設定の幅が広がった形とも言えます。
      ギターの音色そのものをイコライザーで変化させてからME-50で音を加工するので、エフェクトの音は割りと自然になります。

      【イコライザーをME-50の後ろに繋ぐ】
      一方、イコライザーを後ろに繋いだ場合、ME-50で加工した音をイコライズすることになります。
      こちらの場合、加工音の各帯域を変化させられるので、癖のあるエフェクト音が作れます。
      低域を削ったシャリシャリ音などが作れるイメージです。

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