リバーブ・VSTエフェクトの追加(Epic Verb、SIR1)

6分で読めます。

比較的最近のキーボードには、midi端子だけでなくUSB端子が搭載されています。そのため、PCと接続してDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)等を利用することで、世界中のミュージシャンやエンジニアが録音・作製した音源を使用することが可能です。
DAWに関しては有料のものがほとんどですが、日本製のMSPや、海外製ですが市販のものと同等がそれ以上の能力を持つReaper(ただしフリーなのはバージョン1.00未満のみ)といったものがあります。
こういったDAWで使用できる追加のエフェクトは有料やドネーションウェアのものも多いですが、無料で気軽に試せるものも多くあります。ここでは、Steinberg’s Virtual Studio Technology(VST)で作られた、気軽に利用できるリバーブ・エフェクトについて紹介していこうと思います。

Epic Verb.JPG

Epic Verb


Variety Of Soundが開発した、非常に多くのパラメータを操作できる多機能リバーブがEpic Verbです。サイトではEpic Verb用のプリセットも配布されており、非常に多くのプリセットを試すことが可能です。ただ、これら公式のプリセットは全てウェット音のみが出力されるようになっていることに注意です。
original.mp3
ドライ音(Spicy Guitarのプリセット「That’s All, Folk!」)
epic verb.mp3
Epic Verbのプリセット、church3
操作できるパラメータは数多くあり、左から、反響までの時間を決めるPRE DELAY、音が残響する時間を決めるTIME、残響音の掛かり方と初期反射の種類を切り替えるREVERBERATIONとERがあります。その次は、初期の残響音の時間や音量を決める1st ERと2nd ER、残響音の減衰の量を決めるDAMP、音を揺らすMODがあります。
また中央には、高音域と比べてTIMEがずれる低音域のTIME修正倍率を決めるRT-LOW、RT-LOWとウェット音の周波数帯域をかぶらせるクロスオーバー周波数を決める(RT-LOWの周波数帯域を決めるための)RT-XOVRというものもあります。
そしてその次に、外側のリングで低音域と高音域の周波数帯を選択し、内側のリングでその増減量を決めることができるイコライザーがあります、HiQはその増減量の上限を±12dbから±18dbまで上げます。
最後に、残響音のセンターや左右の音を別に出力して別々にエフェクトを掛けるための(M/S処理するための)MID-SIDE、ドライ音とウェット音の割合を決めるDRY-WET、そしてエフェクトのオンオフスイッチと最終出力量を決めるLEVELがあります。
Epic Verbは設定の幅が広いため使いこなすのが非常に難しく、CPUへの負荷も高めです。しかし、様々な場面で役立つので、その性能は折り紙付きと言えます。

sir5.gif

SIR1


IR(impulse-responses)ファイルを利用して音に残響音を付加するという、Christian Knufinke氏が開発した高品位なリバーブがSIR1です。サイトには「SIR v1.011」と「Example Impulse Responses」(CathedralとTheater)が置いてあるので、それぞれダウンロードする必要があります。その後、IRファイルをVST側から選択することでリバーブが使用できるようになります。
SIR1 (SIR) – Reverb
画面に表示されているそれぞれのパラメータは、表示されているIRファイルの残響音を調節するために使用します。残響が始まる時間はPredelayが、初期の残響音の強さとその変化はAttackが、残響音の減衰はEnvelopeが、残響音が減少するポイントの調整はLengthが、残響音のサンプリングレートはStretchが、原音と残響音の広がりはStereo INとStereo IRがそれぞれ対応しています。
SIR.mp3
SIR1のプリセット、Cathedral
その他、IRファイルを反転させてリバーブの残響音の変化を反転させるReverse、原音とエフェクト音のオンオフを切り替えるスイッチ、音量を変えるフェーダー、ゲインのオート調整や底上げのオンオフを切り替えるスイッチ、左クリックと右クリックでピークの作成と消去ができるイコライザがあります。言葉で説明すると難しそうですが、その使用方法は非常にシンプルです。
また、更にリバーブの種類を増やすためには、echochamber’s impulse responsesImpulse Responses Made by Fokke van Saane等で公開されているIRファイルをダウンロードすることになります。ファイルにはいくつか種類があるようですが、少なくとも拡張子がwavとなっているものはSIRで認識して使用することができます。
ちなみに、上記のサイトにある「.sit」はMacで使われていた圧縮形式で、Aladdin Expander等で解凍することができます。ただ、内部のファイルの使い方はSIR1とはまた異なるようです。
SIR1はCPUの使用率がやや高いのがネックですが、性能や音質に特に優れています。また、IRファイルさえ揃えてしまえば、簡単に高音質なリバーブを次々と切り替えることができるのも魅力です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。