楽器用マイクロフォンの定番機種(SHURE SM57、BETA57A)

4分で読めます。

楽曲の雰囲気や音の広がり方は、メロディやコードだけでなく、その録音環境にも大きく左右されます。そしてアコースティックな楽器でもエレクトリックな楽器でも、その空気感はマイクの特性によって決まるといっても過言ではありません。そういった理由から、現在でもアンプシミュレーターやマイクシミュレータによって空気感を再現する技術は、凄まじいスピードで進歩しつつあります。
しかし、実際にギター用アンプやドラム等にマイクを立てた際の空気感、マイクの配置による音作りの自由度では、まだ現実に分があるようです。そこで、ここでは主に楽器用として使われているダイナミック・マイクの代表機種について紹介していきます。
Shure SM57 楽器用マイクロホン

SHURE SM57

ボーカル用として世界中で定番となっているマイクがSM58ならば、SM57は様々な楽器やの録音に優れるスタンダードなダイナミック・マイクです。その見た目はSM58等を含めカラオケ屋等で見かけるマイクと比較すると非常にユニークで、ウィンドスクリーンがありません。そのため、こういった違いは本機にSM58とは異なった特性を与えているようです。
また、本機はマイクと音源が近いと低音域のレベルが上昇する近接効果について特に配慮されており、200Hz以下の音域の感度が落ちるように調整されています。一方、SM58ではこの近接効果に対するロールオフが100Hz以下となっています。この違いも、これら両機種の特性の違いに影響しています。
更に、本機は楽器用ではありますが、ボーカル用として使用すると繊細さが強調されます。これはSM58のパワフルさとは対照的です。そのため、物哀し気な楽曲等、様々なジャンルのボーカル用マイクとして使用することも可能です。

そして、本機は楽器用ということで扱える楽器も幅広く、ドラムから和楽器、アコースティックギターからディストーションサウンドまで、様々な用途に使用できます。その上、持ち運びしやすさという点ではハンディ・レコーダーに分がありますが、本機は環境音や雑踏の音、効果音の録音にも活用できます。
Shure BETA 57 楽器用マイクロホン

SHURE BETA57A

SM58に改良版のBETA57Aがあるように、SM57にも改良版のBETA58Aが存在します。 BETAシリーズはオリジナルよりもクリアで輪郭がはっきりとしており、高音域の抜けが良いのが特徴です。その中で、BETA57Aは楽器用マイクの世界的スタンダードとして使用されています。ただSM57がボーカルにも使われるように、本機もユーザーの好みによりボーカル用として使われます。
また、BETAシリーズには集音できる範囲が限定される超単一指向性(スーパーカーディオイド)のものが多くあり、本機もその例に漏れず指向性が狭まった作りとなっています。そのため、ボーカルなどで使用する際にはマイクと口との距離や方向がとても重要です。この点にさえ注意すれば、本機は入手しやすく、雑音が入りにくく、ハウリングも起こしにくい使い勝手の良いマイクとして役立つはずです。

こういった性質から、BETA57AはSM57と高音域の録音に優れるコンデンサー・マイクの間に位置するような存在です。そのため、マイクとしての性質が全く異なるので無理があると言われればそこまでですが、本機はコンデンサー・マイクを使用したいけれどそれは難しいといった場面で役に立つことがあります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。