電圧のブーストを可能にするユニークなエフェクター用パワーサプライ(VOCU・AA Power Plant、Double Power)

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コンピュータの電源部と同じように、電子楽器やエフェクターにとってパワーサプライは心臓とも呼べる重要な機器です。そして多くのアナログ・エフェクターは、パワーサプライの性能や作り、出力電圧によって音質や音色が変わってきます。そこで、ここでは電圧のブーストが可能で、ノイズに対する対策が施されているものもある、ユニークなパワーサプライを見ていきます。

VOCU・AA Power Plant

ギター関連製品で知られるフェルナンデスやスギヤマエレクトロンの社員が興した、VOCUの電圧調整可能な単3電池駆動のパワーサプライがAA Power Plantです。本機はエフェクターの形としてポピュラーな長方形型となっており、入手しやすく安価な単3電池8本で駆動させることができるのが魅力です。

分岐用のDCケーブル
また、本機は5V~12Vの範囲で電圧の調整が可能です。エフェクターは電圧の変化に敏感な機種も多く、電圧を上げると音がギラついて歪み方が増し、電圧を下げると音がチリチリとかすれ、エフェクトの効果が不規則になります。更に、電池を使用すると電源に由来するノイズを抑えることができるので、本機は歪み系を含めた様々なアナログ・エフェクターとの併用に優れています。

こういった理由から、AA Power Plantはノイズや電池の入手しやすさなど、様々な問題を解決するのに重宝します。更に、1つのエフェクターの可能性を電圧の面から探るという場合、本機はBaby Power Plant Type-Vと同じように役立ちます。ただし、本機は16000円ほどと価格がネックで、別途DCケーブルが必要になるので、使い手を選ぶ製品とも言えます。

VOCU・Double Power

Double Powerは、入力電圧を2倍にブーストするユニークな追加のパワーサプライです。本機は電流の面では30mA(最大で50mA)という制限がありますが、出力電圧を倍にすることでエフェクターの音質や音色を変化させることが可能です。ただ、9Vで駆動する多くのエフェクターは規定の電圧で駆動させた音が開発者の意図する音なので、必ずしも音が良くなるとは限りません。

また、エフェクターに規定の電圧以上の電気を流した場合、基板のコンデンサやオペアンプの性能によって変化しますが、エフェクターの寿命が著しく縮んだり、故障の原因となることもあります。そのため、Double Powerといった電圧のブーストが可能なパワーサプライを自分のシステムに組み込む場合、事前の情報収集がとても大切です。

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